【フルート】エチュードの効果的な使い方

技術

エチュードって、取り組まれてますか?

エチュード好き!って方と、苦手って方に分かれるのではないかと思います。

まだ取り組まれたことがない方もいると思います。

ちなみに私は、ひたすら同じ音型が並ぶエチュードは嫌いじゃないです。笑

エチュード、なんのために練習するのでしょう?

もちろん、使い方はいろいろで

「これが正解!」

ってこともないのでしょうが、

私のレッスンではエチュードをどのように活用しているか、一例をご紹介したいと思います。

◆ケーラー:35の練習曲

私、これ好きなんです。

エチュードを練習する目的

で、何を目的として生徒さんに取り組んでもらうか、

ずばり結論から申し上げますと

『音楽作りのために活用します』

私のレッスンでは、音楽的に演奏することを重視しています。

もちろん、細かいテクニックについても、要望・疑問があれば随時お答えし、その都度有効な練習方法を提案します。

しかしそれと同時に、楽譜から音楽を読み取れるようになってほしいのです。

なぜ、この強弱がついているのか

なぜ、このアーティキュレーションなのか

なぜ、この音楽用語が書かれているのか

これらは全て、作曲家がイメージした音楽を伝えるための手段です。

「pって書いてるから、小さくした。」

それだけじゃ音楽になりません。

優しい感じを出したかったのか、

遠くから聴こえてくる様子なのか、

はたまた急に小さくすることで和声感を際立たせ、はっとさせたいのか。

このように、音楽のイメージを膨らませ、それに合った音色を探求していただきたいのです。

この譜読みの作業が当たり前にできるようになってくると、

自ずと多彩な音色を求めるようになり、実はこのことこそがハイレベルな技術の習得に繋がっていきます。

基礎練 ’だけ’ が上手いっていう人、少なくないです。

こんなに正確に、ハリのある綺麗な音色でソノリテができるのに、
曲になると音色がいまいち、音の輪郭もいまいち、音程もちょっと、、

なんだか魅力的じゃないな

これじゃもったいないですよね。

人前で発表するのは基礎練習じゃなくて、曲ですもんね。

私のレッスンでは、この楽譜から音楽をどう起こすか、というのを一緒に考えていく作業をします。

音楽にはパターンがあります。

ご自分の演奏したい曲から手を付けていただいてかまいません。

どの曲にもある程度決まったパターンがあり、慣れると自分で読み解くことができるようになっていきます。

私も、私の師匠から手取り足取りそれを教わり

「このパターンはこう吹くと演奏効果がよく出るんだな」

というのをつかんでいきました。

だらだらと書いてしまいましたが、

ケーラーのエチュードは構成がわかりやすく、譜読みが得意でなくとも音楽パターンを学習するのに適していると思います。

ケーラーのエチュードの何を見るか

ケーラー:35の練習曲の1番、取り組まれた方は曲の冒頭をすぐに思い出せると思います。

ソラシド ミシドソ ラミファラ ミーレ

ってやつですね。

この1番では3つ、やるべきことを決めています。
(というかどの曲でも、以下の3つは最低限必ず考えます!)

1.アーティキュレーションを徹底する

楽譜の一部、載せますね。

まず
冒頭の3つスラー、1つスタッカート
の形を徹底してできるようにします。

このスラーの終わりの長さはどの程度?

dolceを表現するにはどのテンポが適切か?

他にも
3段目、2小節に跨っている長いスラーはどのように表現するか?

タンギングをしなければ、それだけでスラーになるわけではないのです。

なめらかに聴かせるためには方法があるのです。

このように書いてあるアーティキュレーションを細かく丁寧に整えていきます。

文章だけ読むと面倒くさく感じられるかもしれませんが、実際に吹いてみると、音楽が活き活きしてきてどんどん練習が楽しくなってきますよ(^^♪

2.曲の構造を理解する

ケーラーのエチュードのいいところは、構造が非常にわかりやすいこと。

最初にテーマがあり、中間部があり、またテーマが戻ってくる。
そのあとコーダ部がつくことが多いです。

もしくは例えば冒頭を細かくみると

まずは4小節のテーマ、
次もまた4小節、今度は最初のテーマを少し変化させたものが出てくる。

というように出来ています。

これは音楽のよくあるルールで、なんてことないことなのですが、これを意識するかしないかで譜読みの速度、フレーズのまとまりが大きく変わってきます。

このように、常に音楽をフレーズとして捉えられるようになると、曲の作りがよくわかるようになります。

フレーズがしっかり作れている音楽のほうが、聴いている人にとって心地よく遥かに聴きやすいのです。

そして、それらがわかってくると、音楽の工夫のアイデアがたくさん出てきます。

こうして音楽は楽しくなっていきます。

3.楽譜にない強弱を考える

何もアレンジしようというわけではありません。

例えば曲の初め、ソラシドの後に、高いミがあります。

これは、平坦に吹くよりも、ソラシドを次の高音ミに向かって自然とクレッシェンドしたほうが、立体的に聴こえます。

クレッシェンドというと語弊があるかもしれません。

音楽の向かう先を明確にする、と言ったほうが正しいかもしれませんね。

例えば9小節目、音楽は短調になります。

ここをどのように吹くか。

音量を少し控えめにするのもいいと思いますし、逆にしっかり吹くことによって曲想の変化を見せるのもおもしろいかもしれません。

実は、プロは楽譜に書いてある範囲内でそのような工夫をたくさんしています。

そのような小さな仕掛けをたくさん作ることで、曲の出来上がりに差が出ます。

先にも述べましたが、音楽は必ずどこかに向かっています。

その向かう先をしっかり見据え、フレーズを作り、音楽が見える演奏をしていきたいと思っています。

このようなステップの積み重ねで、楽譜の読み解き方・それに合った奏法を覚えると、とにかく楽しいのです!

私のレッスンでは、技術の向上とともにフルートライフがさらに楽しくなるヒントを与えられればと思います♪