フルートの指が回らない!
このような悩みをお持ちの方、いらっしゃると思います。
フルートは速いパッセージが多いですよね。
一筋縄じゃ指がなかなか回らないパッセージに出会ったとき、効率よく確実に動かすために、私が行っている練習方法をお伝えしますね。
指を速く動かすためには、前提条件として、フルートを正しく持つことが出来ているかが大変重要になってきます。
まずは持ち方のご確認を!
正しい持ち方が出来ると、余計な力が入らなくなり、全ての指が自由に動きやすくなるはずです。
それができた上で、もう一つ大前提として知っておいていただきたいのが、フルートの指を速く動かすとき、決して指をキーから高く上げすぎないことです。
具体的には、キーからほんの1㎜、2㎜程度のところまででとどめられるとベストです。
これは、私が高校3年生で初めてフルートの先生に師事したとき、最初に習ったことでした。
それまでは力技でなんとかねじ伏せて動かしていたのですが笑、先生からそのような指導を受け、指を高く上げないということを次のレッスンまでの2週間で徹底的に直しました。
先生が教えてくださった練習方法は、簡単で、だれでも試せます。
指を高く上げないための練習方法
左手の薬指、右手の中指・薬指のキーの上に1円玉を置き、それを落とさない範囲で指を動かす、という訓練です。
「3円あれば出来るから」
と、私の師匠のお言葉。笑
当時私にとって、初めは衝撃的に難しかったのですが、根気強く2週間続けるとなんとか習得することが出来ました。
1円玉を落とさないために、どうしてもこわばってしまうと思うのですが、指の力を抜いて行うことに努めてください!
ちなみに右手小指を複数のキーに移動させる必要があるときは、右手側に一円玉を置いたまま落ちない範囲で指を動かすことはほとんど不可能ですので、そういうパッセージを練習するときは無理しないでくださいね。
なぜ指を高く上げないほうが良いかと言いますと、
・単純にキーまで指を下ろす距離が長いとタイムラグが生じる。
・指を高く上げると、上げていない指に余計な力が入ってしまう。
そうなると、力が入ってしまった指は二度と上がらないのですよ。笑
指を高く上げないように動かせると、更に良いことがあって、
不思議と音色もまとまってきます✨
ぜひ試してみてください♪
さあ、それでは、運指が難しいパッセージに出会ったときの具体的な練習方法に移ります。
速いパッセージの練習方法
- Step1 まずはゆっくりでいいので、間違えないように何度も吹く。
何度もというのは、だいたいの音の並びが頭に入るまでです。
このときに、ただ吹くのではなく、良い音色で吹けているかや、和声感も自分の耳でよく確認しながら吹くと、指の回りだけではなく後々の音楽全体の仕上がりが変わってきますよ。
連符が連続するときには、リズムやアーティキュレーションを工夫して練習する方法を取りいれていらっしゃる方もいると思います。
それももちろん効果はありますので、その練習を行うときでも「間違えない速さで吹く」というのを徹底してください!
- Step2 スピードを上げる必要はないので、Step1でだいたいの音が頭に入ったらその箇所の練習を止め、一晩寝る。
だいたいの音が頭に入ってきたなと思ったら、もうその日はこの箇所の練習をやめましょう。
一晩置いて、また別の日に取り組んでみてください。
眠っている間に、脳が今日やった練習を整理してくれます。
- Step3 後日また同じパッセージを吹いてみる。そして少しテンポを上げてみる。
別の日に何度か吹いてみると、前に練習を止めたときくらいにはすぐに吹けるはずです。
さらに頭の中で運指がすっきり整理されているはずなので、少しずつテンポを上げてみましょう。
- Step4 少しずつテンポを上げ、速さに頭が追いつかなくなったら、そこで練習をやめ、一晩寝る。
無理せず寝かせることです。
後日また吹いてみると、前よりも速いテンポに対応出来るように脳が整理されています。
するとまたさらに速いテンポへ進めるはずです。
あとはStep3とStep4の繰り返しです。
こうして一晩寝てから練習を再開すると、ぶっ続けで長い時間ねばるよりも、総合的に短い時間で習得することができます。
力技や無意識の運動神経で吹くのではなく、脳でしっかり理解して吹くというのが、上達への近道です♪
毎日の練習時間が十分に取れないという方でも、
「今日はここの箇所に5分だけ時間を使ってみよう」
というので十分なのです。
前にYouTubeで見た多言語話者の方が、外国語を習得するコツについて、
「新しい言語を習得するには、その言語を毎日とにかくたくさん聞いてください。そうすると寝ている間に脳が整理してくれます。自分の脳を信じてください。」
と話していました。
それを見て、楽器の練習と同じだなぁと思ったのを覚えています。
そして、自分の脳を信じるっていいなと思いました(^^
脳の仕組みを利用して、効率良く時間を使ってみましょう。
コツは、その日できたかできないかは一切気にしないことです。
今日も取り組んだ♪って思えれば上出来です◎
高校生の頃、どうしても吹けない7連符があって、一度に1時間以上もその1拍分の練習に費やしていたこともありました。
そのときはほとんど意地で練習していましたが、おそらくそのような練習は楽しくないですし、続けると手を痛めてしまう危険性もあります。
そんなに時間をかけなくても、一晩寝かせるというのはオススメです。
Step1で「間違えないように」というところを強調したのにはワケがあり、
間違えて何度も吹いてしまうと、間違った情報を脳が取り入れてしまうからです。
より多く行った動作を脳は定着させようとするので、ゆっくりでいいので「間違えない」というのがとても重要なのです。
どんなに遅くてもいいので、間違いのない指の運びで何度も吹いてみましょう。
以上が、私の行っている運指の難しい箇所の練習方法です。
その他の方法
その他の解決方法として、
- 指の運びが明らかに難しい箇所は、替え指がないか考える。
曲の速さにもよるのですが、音程が気にならないほど素速いパッセージの場合には、トリルキーをはじめとする様々な替え指を検討してみてください。それも技術です。
替え指としては、高音の速いパッセージには、5度下の音の指で、倍音を利用して演奏するという手段もあります。
- 指の動きを鏡で見て確かめる。さらに、どう指が動くのかを頭の中で完全にイメージできるようにする。
これも私はよくやっているのですが、鏡を見て、どのように指が動いているか、無駄のない動きになっているかをチェックします。
その後、無意識で動くのではなく、頭の中でしっかりと指の動きをイメージできるようになるところまでくれば、滑ったり抜けたりすることなく、確実に指を運ぶことができます。
さらに、一晩寝かせてまた翌日練習、ということを数回繰り返していると、
曲を最初から通して吹いてみたときに、今まで引っかかっていたところが無意識のうちに自然と吹けている、という現象が起こるときがきます。
私は、その現象が起きたら、もう一度その箇所を取り出し、指の動きのイメージが頭の中で完全に固まっているか確認する作業を行うようにしています。
そうすることで、正しい運指がより正確に定着します。
また、運指が脳内で整理されていないことが問題なのではなく、人間の構造として動きにくい運指、
例えば、左手の中指と、人差し指・薬指を交互に連続して動かす運指(高音域のファとラを交互に吹くときの指)、これは動かしづらいと思うのですよね。
こういう運指が出てきたときは、フルートを手に持っていない時間を使うのもひとつの手で、
通勤・通学時や授業の合間など、ちょっとしたすき間に、こっそり膝の上で左手の中指と人差し指・薬指を交互に入れ替える練習をします。
これも、指を上げ過ぎず最小限の動きで出来るよう、根気強く行ってみてください。
ちなみに私はトリプルタンギングの習得もフルートを吹いていない時間を利用し、登下校時に
「TTK TTK TTK …」
とひたすらつぶやき、練習しました。
楽器の上達を願っているあなた、楽器を手にしていない時間も有効活用してみてはいかがでしょうか♪
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